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【医師監修】水虫になる原因は?対処法・予防策も徹底解説

【医師監修】水虫になる原因は?対処法・予防策も徹底解説

じめじめした季節になると、足の指の間がかゆくなったり、皮がむけたりする水虫に悩まされる方が増えてきます。水虫は一度かかると治りにくく、繰り返すことも多いため、正しい知識と早めの対処が大切です。
今回は、水虫になる原因と発症した際の適切な対処法、再発を防ぐための予防策までわかりやすく解説します。
記事公開日:2025年6月16日


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水虫になる原因

水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に感染することで起きる感染症です。白癬菌は私たちの体に常在している菌ではないため、水虫は外部から感染する外因性の感染症に分類されます。

感染は、皮膚の一番外側にある角層に白癬菌が付着し、定着・繁殖することで起こります。とはいえ、白癬菌に触れただけですぐに水虫になるわけではありません。白癬菌が皮膚に長くとどまり、高温多湿といった繁殖に適した環境がそろうことで感染リスクが高まります。

特に靴の中や足の指の間など、蒸れやすく湿度の高い場所は、白癬菌が増殖しやすい環境です。角質に定着した白癬菌は、皮膚の角層に含まれるケラチンを栄養源として増殖し、その過程でさまざまな物質を作りだします。そして、それらの物質へのアレルギー反応により、かゆみや皮むけ、みずぶくれ、赤みなどの症状が現れるのです。

白癬菌の感染経路は多岐にわたります。例えば、家庭内での共有スリッパやバスマット、公共のプールやジム、飲食店の座敷など、他人が素足で利用する場所には感染リスクが潜んでいます。身の回りの環境すべてが感染源になる可能性があるため、日常生活の中で注意が必要です。

 

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水虫になった際の対処法

水虫になると、かゆみや皮むけ、みずぶくれ、赤みなどの症状が現れ、症状が進行するとかゆくて夜眠れなくなったり、じくじくして足が腫れてきたり、日常生活に支障をきたすこともあります。また、放置すると、体の他の部位や家族に感染したりするリスクもあるため、早期の対処と継続的なケアが非常に大切です。

ここでは、水虫になった際に自分でできる対処法と、症状がひどい場合に取るべき行動について解説します。

市販薬を塗る

軽度の水虫であれば、市販されている外用薬を使用してケアすることが効果的です。薬にはいくつかの剤形があり、自分の症状や生活スタイルに合ったものを選ぶことがポイントです。

市販薬は主に下記の3タイプに分類されます。

クリーム剤

伸びがよく、患部にしっかり密着して浸透(角層まで)するタイプで、3つの中でも最もよく用いられています。皮膚のひび割れやジュクジュクした患部にも比較的刺激が少なく、使いやすいです。指の間など細かい部位にも塗布しやすく、伸びがよいのもメリットです。

液剤

清涼感があり、速乾性に優れたタイプです。皮膚表面が湿っているときにもサラッと使えますが、アルコール成分が含まれていることが多いため、ひび割れや傷口にはやや刺激となる場合もあります。

スプレー剤

手を汚さずに使えるのが特徴です。冷感タイプでかゆみを一時的に抑える効果が期待できるものや、サラサラ感をキープできるタイプなどがあります。外出先や仕事中などでも気になったら、サッとスプレーできて便利です。

皮膚科を受診する

市販薬を一定期間使っても改善がみられない場合や、症状が強く出ている(ただれている、強いかゆみや痛みがある など)場合は、早めに皮膚科を受診するようおすすめします。

また、水虫かどうか判断がつかない場合も、安易に市販薬を使うのではなく、まずは皮膚科で診察を受けることが大切です。

皮膚科では皮膚の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を確認する検査が行われ、正確な診断を受けることができます。実際、水虫と思っていたら別の皮膚疾患だったというケースも珍しくありません。

診断の結果、水虫と確認された場合は外用薬による治療が中心になりますが、症状によっては内服薬を併用することもあります。特に水虫が足以外の部位にも生じてしまった場合や、爪水虫を併発している場合には、内服治療が必要になるケースが多いです。

水虫治療で最も重要なのは、「症状がなくなった=治癒」と思わず、白癬菌を完全に死滅させるまで治療を継続することです。見た目の症状が改善しても、実は白癬菌の数が減少しただけで、まだ皮膚に菌が残っている場合があります。

自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従いましょう。

 

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水虫にならないための予防策

水虫は一度治っても、再び感染する可能性があるやっかいな感染症です。また、今まで水虫にかかったことがない方でも、日常生活の中で白癬菌に触れ、水虫になるリスクがあります。

水虫の再発や新たな感染を防ぐために心がけたい、具体的な予防策を紹介します。

同居する人が水虫の場合、治療を勧める

家族やルームメイトなど、同じ空間で生活する人が水虫に感染している場合、自分も知らず知らずのうちに白癬菌に触れるリスクがあります。

まずは、症状に気づいた段階で受診を促し、早期に対処してもらうことが大切です。水虫は初期段階のうちに治療を始めることで、症状の改善が見込めます。

さらに、家庭内での感染を防ぐためには、生活環境の衛生管理も欠かせません。具体的には、以下のような対策をするとよいでしょう。

・バスマットは毎日洗濯する、できれば共有を避ける
・共有スペースの床は定期的に拭き掃除や掃除機をかけて、清潔を保つ
・スリッパやサンダルは個人専用のものを用意する

特にお風呂場や脱衣所など、湿度が高く裸足になる機会の多い場所では、白癬菌が繁殖しやすくなります。白癬菌は一度繁殖すると3か月くらい生き続けるといわれていますので、こまめに掃除をして、感染を防ぎましょう。

足を清潔に保つ

白癬菌は、皮膚に接触しただけですぐに感染するわけではありません。菌が長時間皮膚に残り、高温多湿という条件が整うことで感染のリスクが高まります。したがって、足を清潔に保つことが最大の予防策となります。

具体的には、以下のポイントを意識しましょう。

・毎日入浴し、足の指の間までていねいに洗う
・石けんやボディソープはしっかり泡立て、やさしく洗う
・タオルで水気をしっかり拭き取り、乾燥させる

足をゴシゴシ洗い過ぎると、角層に傷ができ、かえって菌が侵入しやすくなるため注意が必要です。軽石や硬いブラシの使用は避け、手のひらや柔らかいタオルでやさしく洗いましょう。

外出先での予防も重要です。ジムや温泉、プールなどの施設では、不特定多数の人が裸足で利用するため、白癬菌に感染してしまうことがあります。帰宅後は足をきちんと洗う習慣をつけましょう。

通気性の良い靴や靴下を使用する

足が蒸れた状態は、白癬菌にとって格好の繁殖環境です。特に夏場の高温多湿な季節や、長時間靴を履き続ける仕事環境では、足が蒸れて湿度が高くなりやすく、水虫のリスクが高まる可能性があります。

そのため、水虫を予防するには、足をできるだけ蒸れにくい状態に保つ工夫が欠かせません。

以下のようなポイントを日常生活に取り入れてみましょう。

・通気性の高い素材の靴(メッシュなど)を選ぶ
・靴は毎日同じものを履かないようにし、一日履いたらしっかり乾かす
・靴下は吸湿性の優れた綿などの素材を選び、汗や雨などで湿ったら新しいものに履き替える
・足の指の間の蒸れを防ぐため、5本指ソックスを活用する

また、可能であれば、オフィスではサンダルやスリッパに履き替えて過ごすのもよい方法です。足が密閉状態から解放されることで、汗や湿気の発生を抑えられます。

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まとめ

水虫は、白癬菌というカビの一種が原因で起こる感染症です。高温多湿な環境や足元の不衛生な状態は、発症や再発のリスクを高める要因となります。感染を防ぐには、足を清潔に保つことや、通気性の良い靴や靴下を選ぶこと、家庭内での感染予防を意識した生活習慣が大切です。

万が一水虫になってしまった場合には、市販薬によるセルフケアも可能ですが、症状がなかなか改善しない、あるいは悪化していると感じたら、早めに皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けましょう。症状が落ち着いても治療を中断せず、しっかり完治させることが再発防止につながります。

誰もがかかる可能性のある身近な感染症だからこそ、正しい知識と日々のケアを通じて、水虫の予防と早期対処を心がけましょう。

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野村皮膚科医院 野村 有子 院長

医学博士。慶應義塾大学医学部卒。横浜市に野村皮膚科医院を開業。
わかりやすい丁寧な指導が評判の関東屈指の人気皮膚科医。
最新の肌診断機器の導入や、アトピー性皮膚炎患者専用モデルルーム、アレルギー対応カフェも併設されている。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹を中心に、男女を問わず幅広い年代の皮膚疾患の診断、治療を行っている。


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