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【医師監修】乾燥性皮膚炎とは?原因や対処法・予防策を解説

【医師監修】乾燥性皮膚炎とは?原因や対処法・予防策を解説

空気が乾燥する季節になると、肌がカサついたり、かゆみや赤みを感じたりすることはありませんか?「よくあることだから」とそのままにしていると、症状が悪化して乾燥性皮膚炎になることもあるため、早めのケアが大切です。
今回は乾燥性皮膚炎の主な症状や原因、症状が出たときの対処法、日常でできる予防策についてわかりやすく解説します。思い当たる症状がある方は、本記事を参考に対処してみましょう。
記事公開日:2025年12月22日


この記事は約7分で読み終わります。

乾燥性皮膚炎とは?主な症状

乾燥性皮膚炎とは、肌の乾燥によって皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激に敏感になることで赤みやブツブツ、かゆみなどが生じた状態を言います。単なる乾燥肌と違い、皮膚に不快な症状を伴うのが特徴です。

乾燥が進行すると、まず「乾皮症」と呼ばれる状態になります。これは皮膚の水分が不足し、白い粉をふいたり、表面の角質がぽろぽろと剥がれ落ちたりする状態です。

乾燥性皮膚炎は「皮脂欠乏性湿疹」とも呼ばれ、以下のような症状がみられます。

かゆみ

乾燥性皮膚炎になると、皮膚はほんの少しの刺激にも敏感に反応し、かゆみを感じやすくなります。

これは、乾燥によって皮膚のバリア機能が低下すること、さらに皮膚に分布する神経の働きに変化が起きることが関係しています。皮膚のバリア機能が弱まると、本来は皮膚の奥まで届きにくい外部刺激が内部まで伝わりやすくなり、その刺激に対してかゆみを引き起こす物質が皮膚の中で放出されてしまうのです。

また、乾燥が進んだ状態では、かゆみを感じる神経(知覚神経線維)が通常より表皮の近くまで伸びてしまうといわれています。そのため、衣類の摩擦などのわずかな刺激でも、強いかゆみを感じやすくなるのです。

赤み・湿疹

強いかゆみが続くと、つい患部をかいてしまいがちですが、かくことで皮膚の表面に細かい傷がつき、炎症が起こりやすくなります。 その結果、皮膚が赤くなったり、小さなポツポツとした発疹(丘疹)が見られたりすることがあり、症状が進むと皮膚炎へと進行します。

炎症が生じると、皮膚はさらに刺激に敏感になり、かゆみが一段と強くなるのが特徴です。すると、またかいてしまうことで炎症が悪化し、「かゆい→かく→さらにかゆくなる」という悪循環に陥りやすくなります。

 

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乾燥性皮膚炎になる原因

乾燥性皮膚炎は、さまざまな要因によって皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激に弱くなることで生じます。ここでは、代表的な原因をみていきましょう。

加齢による皮脂や保湿成分の減少

肌のうるおいを守る役割をもつ皮脂は、年齢とともに分泌量が減少する傾向にあります。また、皮膚のバリア機能を保つためのセラミドや天然保湿因子などの保湿成分も減少していきます。皮脂や保湿成分が不足すると、肌の水分が蒸発しやすくなり、乾燥が進みやすい状態になります。

こうした乾燥が続くと、皮膚のバリア機能が弱まり、わずかな刺激でもかゆみや炎症が起きやすくなってしまうものです。その結果、乾燥性皮膚炎につながることがあります。

誤ったスキンケア

日々のスキンケアや入浴方法が、乾燥性皮膚炎を招く原因になることもあります。

例えば、次のような習慣は、肌を守る皮脂膜や角層のうるおいまで奪ってしまう恐れがあるため注意が必要です 。

・タオルで体をゴシゴシとこすって洗う
・洗浄力が高い 石けんやボディソープを使用する
・洗顔や入浴の後に十分な保湿ケアをしない


こうした習慣を続けていると、肌の乾燥が進み、外部刺激に弱い状態になりやすくなります。何気なく続けているケアが、結果的に肌のうるおいを奪い、トラブルを招いてしまう場合もあるのです。

空気の乾燥

季節や環境による空気の乾燥も、乾燥性皮膚炎の原因のひとつです。特に冬場は湿度が低下しやすく、さらに暖房によって室内の空気が乾燥し、肌の水分が奪われやすい状態になります。

肌が乾燥すると外部刺激に対して敏感になり、かゆみを感じやすくなります。かゆみが強くなるとついかいてしまいがちですが、かくことで皮膚に刺激が加わり、炎症や湿疹が悪化する原因になるため注意が必要です。

 

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乾燥性皮膚炎になった際の対処法

乾燥性皮膚炎になってしまったときは、症状を悪化させないためのケアが大切です。ここでは、自宅でできる対処法を紹介します。

できるだけかかないようにする

かゆみがあると、ついかいてしまいたくなりますが、かく行為は刺激となり、かゆみや炎症をさらに悪化させる原因になります。できるだけ患部をかかず、刺激を与えないよう心がけましょう。
どうしてもかゆい時は、濡れタオルでやさしくかゆい部分を抑えると、かゆみは和らいできます。

また、かき続けると肌ダメージによって色素沈着が生じ、症状が治まった後も跡が残ってしまう場合がありますので注意が必要です。

外用薬を塗布する

乾燥性皮膚炎は肌の乾燥が主な原因であるため、保湿ケアが重要です。かゆみがある場合はかゆみを抑える抗ヒスタミン成分が含まれた外用薬の併用をおすすめします。

炎症が強い場合は、抗ヒスタミンの外用薬では症状を抑えきれないことがあります。その際は、炎症を鎮めるステロイド外用薬が有効です。保湿剤と併用する場合は、先に保湿剤を塗り、炎症の強い部分にステロイド外用薬をポイントで使うのがおすすめです。かゆみが収まったら、ステロイド外用薬は使用を控えてください。

ただし、市販薬を使っても症状が改善しない場合や、広範囲に症状が出ている場合は、悪化を防ぐためにも早めに皮膚科医へ相談しましょう。

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乾燥性皮膚炎の予防策

乾燥性皮膚炎を予防するには、乾燥から肌を守り、刺激を減らすことを意識した日常ケアが求められます。

ここでは、日常生活でできる予防策を紹介します。

保湿を重視したスキンケアをする

乾燥性皮膚炎の予防の基本は、肌のうるおいをしっかり保つことです。洗顔や入浴後は肌の水分が蒸発しやすい状態であるため、タオルで軽く水分を押さえるように拭き取った後、できるだけ早く保湿剤を塗りましょう。

乾燥した肌は外部刺激に敏感になりやすいため、刺激の少ない保湿剤でのスキンケアがおすすめです。

自然素材の肌着を着用する

肌に直接触れる衣類も、乾燥の悪化につながることがあります。化学繊維の下着や衣類は、肌の水分を奪いやすい傾向があります。

乾燥性皮膚炎の予防には、コットンやシルクなどの天然素材の肌着を選ぶとよいでしょう。肌への刺激を減らし、乾燥によるかゆみの悪化を防ぐことができます。

入浴方法に注意する

入浴は肌を清潔に保つために大切ですが、方法によっては乾燥を助長してしまいます。熱いお湯や長時間の入浴は、皮脂を必要以上に洗い流し、肌のうるおいを低下させる原因になります。ぬるめのお湯(40℃以下)に短時間つかるのが理想的です。

体を洗うときは、ボディタオルでゴシゴシとこするのではなく、石けんやボディソープをよく泡立てて、手もしくはやわらかいガーゼなどを使い、泡でなでるようにやさしく洗いましょう。洗浄力が強過ぎる製品は乾燥を招きやすいため、低刺激タイプを選び、洗った後はすすぎ残しがないようにします。

生活習慣を見直す

肌の状態は生活習慣とも深く関係しています。

睡眠不足や不規則な生活は、皮膚のターンオーバーが乱れる原因となり、肌の乾燥などのトラブルを招きやすくなります。十分な睡眠と規則正しい生活リズムを意識しましょう。

また、皮膚は日々の食事から摂った栄養で作られます。皮膚の材料になるタンパク質に加え、ビタミンや必須脂肪酸など、肌の健康に必要な栄養素をバランスよく摂ることが大切です。暴飲暴食や偏った食事は控え、肌の回復力をサポートしましょう。

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まとめ

乾燥性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や外部刺激に反応して炎症やかゆみを引き起こす皮膚のトラブルです。かゆみや赤み、ぶつぶつといった症状は、日常のちょっとした刺激でも悪化しやすいため、早めのケアと正しい対処が求められます。

症状が現れた際は、できるだけ患部をかかないようにしつつ、外用薬でのケアを行いましょう。セルフケアで改善が見られない場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。

また、改善した後も予防に努めて、症状の再発を防ぎましょう。保湿を中心としたスキンケア、肌にやさしい肌着選び、入浴習慣や生活リズムの見直しなど、日々の過ごし方を少し変えることが効果的です。

肌の状態に合わせた無理のないケアを続け、健やかでうるおいのある肌を保ちましょう。

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野村皮膚科医院 野村 有子 院長

医学博士。慶應義塾大学医学部卒。横浜市に野村皮膚科医院を開業。
わかりやすい丁寧な指導が評判の関東屈指の人気皮膚科医。
最新の肌診断機器の導入や、アトピー性皮膚炎患者専用モデルルーム、アレルギー対応カフェも併設されている。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹を中心に、男女を問わず幅広い年代の皮膚疾患の診断、治療を行っている。

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